映画「もののけ姫」に登場するモロの君。
ヒロインのサン(もののけ姫)を娘のように愛し、シシ神の森を守る巨大な犬神のモロの君は、人間の言葉を理解する高い知能を持ち、300歳に及ぶ強い生命力を有しています。
二匹の実の娘たちと共にサンを守り、シシ神の森を破壊しようとするエボシ御前に激しく立ち向かっていく巨大な白い山犬にも似たモロの君の名前の由来とは何でしょうか。
また、モロの君の読み方も気になりますよね。
今回は映画もののけ姫、森の王者ともいえる守護神、モロの君の名前の読み方や由来について考察してみたいと思います。
【もののけ姫】モロの君の読み方
もののけ姫 モロの君 (雪に負けルナ) pic.twitter.com/CFiXQZgLuf
— 川蝉☆奇蹟の月 (@kawasemi_11) January 27, 2018
映画もののけ姫に登場するモロの君ですが、読み方については
「もろのきみ」
という風に読みます。
「〜〜の君」という名前はかなり珍しいので、読み方に悩んでしまいますよね。
【もののけ姫】モロの君の名前の由来とは?
もののけ姫
モロの君かっこいいと思った事ある人RT pic.twitter.com/CNOMEx6ySm— 🐇 (@yukiizoo) March 24, 2013
もののけ姫に登場する”モロの君”の名前の由来について、以下の事が考えられます。
- 完全な存在としての“モロ”
- 侵略者に対する抵抗「モロ戦争」からの意味づけ
- 山の神としての尊称である“君”
それぞれ詳しく解説していきます。
完全な存在としての“モロ”
“モロ”という言葉は日本語として日常よく使われるものとして、
「もろにぶつかった」
「もろに見てしまった」
「もろに頭にきた」
など、“そのまま”“全面的に”“まともに”、といった意味合いで使われることが多いようです。
これらの意味が由来となっていると考えられます。
つまり、完全さといった意味に近いと思います。
メスであるモロの君は、大地を象徴する母親の完全さを持ち、知能が高く、強い生命力を持った、という意味を持っているのではないでしょうか?
モロの君の名前としてふさわしいように思います。
侵略者に対する抵抗「モロ戦争」からの意味づけ
また一方で、歴史的には300年続いたモロ戦争などがあります。
これは、フィリピンの支配を始めたスペインに対するモロ人(ムーア人)の反乱によるもので、侵入者に対する抵抗の戦争とりました。
モロの君も、森を破壊しようとする権力者、エボシ御前との確執などから戦闘へ突入していますので、300年続いた“モロ戦争”と、300歳を生きているモロの君とはつながりがあるように思います。
山の神としての尊称である“君”
“モロの君”の君ですが、「日本語大辞典」によれば、「主上。君主。主君。わが君にお仕えする」という意味があります。
「目上の人に対する敬称」となっています。
森の守護神であり、山犬の長ともいえるモロの君に対する尊称として最もふさわしい敬称といえるのではないでしょうか?
牙を剥き、恐ろしい形相でにらみつける凶暴な姿から、“モロの君”という優雅な名前は結びつきにくそうにも思えますが、その性格は穏やかで、人間であっても森を愛するサンには従順な大らかさがうかがえます。
また、全身が真っ白であるところにも清浄な雰囲気が漂い、威厳と優しさを兼ね備えた名前であるといえます。
まとめ
『もののけ姫』で乙事主は普通の猪より二本多い、四本牙で猪の長であり、神々の一つの存在、長寿であることを示していましたが、モロの君も尻尾が二本と普通より多いことでその事を表していたんですね。モロの君の方は台詞で言及されないから今まで気づきませんでした。 pic.twitter.com/PKBljLQyAl
— ドラゴン士 (@eigarunner) August 13, 2021
以上、「もののけ姫」に登場する森の王者ともいえる守護神、モロの君の読み方や名前の由来について考察してみましたが、いかがだったでしょうか。
■名前の読み方
「もろのきみ」
■名前の由来
- 完全な存在としての“モロ”
- 侵略者に対する抵抗「モロ戦争」からの意味づけ
- 山の神としての尊称である“君”
このような由来があると考えました。
大地を象徴する母の完全さは、メスであるモロの君の、気高く、知能が高く、また生命力にあふれた完全さを物語っていて、“もろ”が、すべてや完全といった意味を持つ“モロの君”とのつながりを思わせます。
また、森や自然を守る神として、侵略者から国土を守る戦争であった“モロ戦争”になぞらえた名前でもあるようにも思えます。
300年の長きに渡って続いた“モロ戦争”と、300歳の年齢を数えるモロの君の強い生命力には、どこかその名前に通じるものがあるようです。
「もののけ姫」の時代背景となっている室町時代は、骨肉の争いでもあった南北朝時代が終わり、やがて来る戦国時代に至るまでの、しばらくの平穏さが保たれていた時代でもありました。
そのような時代にあって、モロの君という名前は、一時的な雅やかさを象徴しているようでもあります。
足利幕府が八代将軍義政の時代に混乱を極めて、応仁の乱へと突入して内戦状態の中で国土が荒廃していくのですから、おそらく意識はしていないにしても、それを食い止めようとするモロの君。
気高く、雄々しく、そしてはかなく散っていくモロの君の姿は、その名前のように、優雅さに包まれた、たくましい森の守護神としての完全さをまとった名前だともいえます。